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まぎあっと。PSO2

PSO2をしながら、その雑記、初心者向け講座、そして自作小説など書いていくブログです

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 Time After Time 2章 第一話 『第十四調査隊 配属』




 ――新光暦二三八年 四月五日

 天候は至って良好。雲ひとつ無い青空が広がっていた。

 そんなピクニック日和とも呼べる日に、私はとある試験を受けている。



「牧瀬那波、合格。トータル成績、75点」




 審査員の結果が発表され、安堵する那波。

 精一杯力を抑えていたつもりだったが、もしこれで高得点が出て名が上がってしまえば、今後の行動もしづらくなる。

 実力を抑え、尚且つ試験に合格するというのは、思っていたより厳しいものだと痛感した。

 ……おや? 何やら少し遠くの観客席が騒がしい。



「……、合格。トータル成績、98点」



 98点……ほとんど満点に近い数字だ。相当のエリートだと見える。

 名前までは聞き取れなかったが、この試験をあれだけの高得点でクリアしたのだ。相当の強者だろう。

 しかし、その予想とは裏腹に、メインモニタに映しだされたのは、那波と同じくらいの背丈の女……。

 上へと伸びる特徴的なヘッドパーツを付け、左目に眼帯をしている女性だった。

 彼女は何か凡ミスでもしたかのように、掌を額に当てて上を向いていた。

 どうやら満点を狙うつもりだったらしい。

 那波はその時ふと、



「世界は、予想通りには事が運ばないから面白いんだよ」



 というミレイユの言葉を思い出し、「その通りだな……」と改めて実感する。



「あの新人中々やり手だよな! なんかこう、修羅場をくぐってきたという感じ。君も、そう思うだろ?」



 控室に向かおうとする那波に声をかけてきた、背丈の高い男。

 胸には正規アークスのバッジが付いている。どうやら先輩のようだ。



「……まあ、そうですね」



 交流をする気の無い那波は、当り障りのない言葉で返した。



「でも惜しかったな~、もう少しでパーフェクトだったのに! やっぱりあそこで……」



 男は構わず話を続け出した。

 先輩と言うのは後輩と話さなければいけないマニュアルでもあるのだろうか……

 いや、後輩と交流を深めるのは基本ではあるか。

 どちらにしても、早く自室に戻りたい。



「……では、私はこれで」

「ん、なんだ、もう行ってしまうのか。他の人の結果とか気にならないの?」

「流石に疲れちゃって……、控室で見ることにします」

「おー、そっかそっか。それじゃあ、ゆっくり休むといいよ」

「はい、それでは」



 ようやく会話から抜け出せられる。那波は退場ゲートに向かって歩き始めた。



「おーう。……次はちゃんと全力を出せるといいなー!」



 ……なんだと?

 予想もしない言葉で、那波の足は停止する。

 咄嗟に男の方に向き直してみたが、既に姿が見当たらなかった。

 確かに手を抜いて試験に挑んだが、一目見ただけでは解らないはずだ。

 今の那波は、ミレイユが専用に開発してくれた術式によって本来の能力を抑えこんでいる状態。

 だから今、体力もフォトンによる術の構築も、空っぽに近いため余程の者でなければ判別は不可能に近い。

 あの男、それほどの人物なのか。



「要注意人物……。……なのは私のほう、か」



 不可解な男だ、と思ったが、客観的に見れば那波の方が不可解な人物である。











 ミレイユの元で修行をはじめてから約八年。

 那波は二十歳になり、四月五日より、正式にアークスに入隊した。

 所属は「第十四番 惑星調査隊」。

 第十四といっても、十四番目の惑星ということではない。この数字はただの部隊番号だ。

 全部で二十の部隊があり、うちの部隊は下から六つ目ということになる。

 横には那波と同じく、新人らしい人物が二人。男と女、1人ずついた。



「やぁ、初めまして。そしてようこそ! 僕が君たちの上官、そしてこの十四番隊の部隊長を務める、”クラン・マーキナス”だ。よろしくね」



 げっ、この男……試験の時に話しかけてきた要注意人物ではないか。

 上官とは思っていたが、まさか自分が所属する部隊長だったとは……偶然なのか、仕組まれているのか

 それともミレイユの下で数年いたせいで、彼女の悪運が伝染ってしまったのだろうか。

 那波は初見の出来事もあり、少しやりづらい気持ちになった。



 一同は上官に対して敬礼をする。



「そう堅くならないで。んじゃあまずは自己紹介でもしてもらおうかな。部下を知ることは大事なことだからね。じゃ、そこの男の子から」

「は、はい! 俺は……あ、いや! 自分は、”浅間 健太郎” 十九歳であります! 市民の安全を守って、頑張って行きたいであります!!」



 指名されたのは那波よりも年下の男子だった。名前も那波と同じ和風な名前だ。

 ヒューマン……昔で言う、「人間」以外の種族が多く存在する今の時代では、どちらかと言うと珍しい。

 皆、洋風や少し変わった名前を好む人が多く、また自分の容姿と似合わないということもあって、洋風の名前を選ぶ人が多くなった。

 まぁ、少数だからこそ、味が出るという面もあるが……



「元気だねー、非常によろしい。んでは次、お隣の方どうぞ」

「ぁっ……ニ、”ニーナ・アンジュリカ” と言います。歳は浅間君と同じ十九歳です……よ、よろしくお願いします」

「ふむ。ニーナ君は……種族はニューマンかな? どっちもまだ若いのに、どうしてアークスなんかに入ろうと思ったの?」

「えっ……、そ、それは……」



 どうしたのか。元からおどおどした様子だったニーナの顔が突然、影を落とした。

 

「ああ! いや、無理に答えることは無いよ! 悪かったね」

「い、いえ……」

「っと、それじゃあ気を取り直して、次は……おや、君はこの前も会ったことがあるね」

「……牧瀬 那波、二十歳です。よろしくお願いします」

「ほうほう。この中では一番年長さんだね。見た目はヒューマンだけど……資料には……」

「はい。昔ちょっとありまして……今はキャストです」

「なるほどね……よし、それじゃあこれでひと通りお終い! さ、皆。準備が出来たらキャンプシップへ集まってくれ」



 クラン隊長は手を叩きながら陽気な口調で指示をする。



「えっ、行くって……どこへ行くんですか!」

「ん~? ちょっとした散歩。ピクニックだよ」











「これでよしっと……」



 健太郎が装備品のチェックを終えたようだ。

 彼は自分の背丈よりも長い槍を背負い、胡座をかいでいる。



「どんな敵でも、俺の長槍でイチコロだぜ!」

「でも浅間君、実戦経験は少ないんでしょ? 試験の成績もあまり良くなかったし……大丈夫?」



 心配そうに見つめるニーナの持つ武器は、絵本の魔法使いが持つような長い杖。

 簡単かつ軽い素材で出来ており、慣れていない人にも扱いやすい、初心者用の杖だ。



「う、うるせーよ、ニーナ。俺は実戦で開花するタイプなんだよ!」

「牧瀬さんも近接タイプなんだし、一緒に力を合わせて頑張れば何とかなるよ!」

「…………」



 彼女の言うように、那波が今持っているのは大剣。RPGなんかでよく主人公が手にしているあの剣だ。

 元々那波の専門は大気中のフォトンを自分の力にして放出するテクニック型なので、本来は杖を持つところだが今は使えない。



「はっ、冗談だろ。敵が何体でてこようが、何が出てこようが、俺一人で十分だぜ。それに……俺、さっき見ちゃったんだよね」

「見たって、何を?」

「あの女の持ってるその剣。さっきショップエリアで買ったばかりの奴なんだよ」



 そう、健太郎の言うことは本当だ。

 この剣は今さっき、ショップエリアで購入したばかりの新品。斬れれば何でもよかったからだ。



「嘘……ほんと?」



 ニーナの声量が少し小さくなる。



「ああ本当だぜ。すました顔してやがるが、本当はいきなり実戦になって、慌てて強そうな武器を買ったってところだろうが……自分の手慣れていない武器を使って戦えるほど、戦場は甘くねーんだよ。それもあーんな安っぽい剣じゃ、たちまち折れて終わりさ。」

「……私のも初心者用の杖なんですけど」



 ニーナの声色が少し変わったのを感じた。



「い、いや! ニーナのは愛用品だし、手に馴染んでるだろ! ……ともかく、そんなド素人が前線に出ても邪魔なだけだぜ。なあ? な・な・み・さ・ん・よ?」

「…………」

「っけ、つまんねー奴」

「ほぉらほら、何を喧嘩しているんだ?」



 あらかた事態が収まった頃にクラン隊長が姿を表した。

 この男、実は終わるのを待っていたんじゃないだろうか? と勘ぐってしまう程のタイミングだ。

 一同は即座に立ち上がって敬礼をする。



「ほい、ごくろーさん」



 クラン隊長も敬礼を返した。



「それじゃ、皆準備は出来たようなので、そろそろ出発しようか!」

「あの、自分ら、まだ場所を教えてもらってないんですが……どこ行くんですか?」



 健太郎はさっきとはまるで違う態度で接する。年頃にしては裏表をしっかり別けている方だろうか。



「ん? あれ、まだ言ってなかったっけ? 今から行く所は、”惑星ナベリウス”です」

 少しだけ先生口調で説明するクラン隊長。

「実戦経験が少ない君たちに、いきなり任務というのも酷だろうと思って、先生からの計らいです。戦闘は常に危険と隣り合わせ。いつなにが起こっても不思議じゃないからね」

「大丈夫ッスよ! なにが起こっても、この俺がメンバーを守ってみせるッス!」

「お! 頼もしいねぇ健太郎君! 是非、その力で先生も守ってくれ給え」



 一同が笑い出す。……一人を除いて。

 表面上笑ってはいたが、はたから見れば苦笑いに見えただろうか。

 さっさと終えて自室でゆっくりしたいという気持ちが、早くも芽生え始めていた。











 四月十日、午後二時。



「これより実地演習任務、惑星ナベリウス探索を開始する」



 クラン隊長の号令のもと、演習が開始された。

 いつもはフワフワと浮いた雲の様な性格だが、実戦での彼の顔は真剣そのものだ。

 道中、襲いかかってきたこの星の原生生物がいたが、隊長の適切な指令のお陰で難なく切り抜けてこれた。

 各自の武器や性格の特性を活かし、的確に動かすその指令は、流石隊長クラスと思わせる程。

 大剣を前線に出し、後方からは魔法による援護射撃。槍はその長いリーチを活かしてどちらの援護にも行ける位置へ。

 最初は「俺が俺が」と先走って猪突猛進を繰り返していた健太郎も、徐々にいうことを聞くようになっていた。



「そろそろ休憩にしようか」



 周囲に障害物もなく、見通しの良い丘の上で那波たちは休憩をすることにした。

 各自、水分補給を済ませ、一時の安らぎを感じていた。



「那波も食べる?」



 クラン隊長が差し出してきたのは棒状のクッキーの様なものだった。

 何でも栄養が詰まっており、その上美味しく、携帯食料には持ってこい。教官試験勉強の時にも重宝したのだとか。



「ありがとうございます、頂きます……」



 せっかくだし興味もあったので貰うことにした。

 ……意外と美味しい。



「どう? 美味しいでしょ?」

「……はい」



 人からモノを貰うのは久しぶりな気がしたため、こういう時どんな反応をすればいいのか……もう忘れてしまった。



「しっかし、最近の若い子は凄いねぇ……演習とはいえ、初の実戦でここまでとは」

「クラン隊長の教え方が上手いんだと思いますよ」

「美味いだけに? あっはっはっはっは」

「…………」

「い、いや、ゴメン、冗談だよ……。ま、そう言ってくれると嬉しいね」

「ちょっと! 怪我してるじゃない!」



 反対側の丘からニーナの声が聞こえた。



「大丈夫だって! こんなもん唾つけときゃ治る!」

「馬鹿言ってないで、ほら。これ飲んで」



 彼女が差し出したのは飲料型の傷薬。

 小さなボトルにストローが刺さっており、飲むことでたちまち傷が癒えるという”メイト”と呼ばれる回復剤だ。

 致命的な傷や骨折など、例外はあるものの、大抵の傷ならばその場で治すことが出来る。

 戦場において負傷は命取りになる。そんな状態を即座に改善できないか、というテーマの元、開発部が完成させた、次世代型医療器具が”メイトシリーズ”だ。


 
「解ってねぇなぁ。傷は戦士の証なんだぜ? 深傷を負った者こそ……」



 ――パンッ

 語りを遮るかのように、深く、そして重い一撃が健太郎の頬に入った。


 
「痛ってーな! 何すっ……」



 健太郎の言葉がそこで止まった。

 目の前にいる人が、小刻みに震えながら涙を流していたら、誰でも戸惑ってしまうだろう。



「解っていないのはアンタよ! 何が戦士の証よ! そんな安っぽいプライドのせいで、他の人の足を引っ張るつもり!?」

「えっ……いや、そういう訳じゃ……」

「もっと……自分を大切にして……お願いだから……」



 あのニーナという娘、中々真面目で優しい人なのだろう。そして――



「あの娘、多分過去に何かあったんだろうね。そうでもなきゃ、普通あんなに熱心に説得できないよ」

「ですね……」



 辛い過去があったのだろう。だからこそ、命を誰よりも重く考えることが出来る。

 だからこそ、無鉄砲な健太郎を、止めずにはいられない、といったところだろうか。

 無鉄砲な健太郎と慎重なニーナ、考えてみればお似合いのカップルかもしれないな。











「ここから五キロメートル離れたところにある、テレポーターが、この演習のゴールだ。皆、よく頑張ったな!」



 演習開始から約三時間。そろそろ終わりを迎えようとしていた。

 人としての連携は余り変わっていないものの、この三時間で、戦闘での連携はそこそこ上がったと思う。

 配置、自分の役目が指揮のもと、ハッキリと解ってきた感じだ。



「へへっ、楽勝、楽勝!」

「健太郎、あまりに調子に乗るとまた怪我をするぞ」



 クラン隊長がこちらへ向き直り、健太郎に諭す。



「いいかい? 遠足は家に帰るまでが遠足と言うだろう?」

「解ってますって! この生命尽きるまで、立派に戦いまーす!」

「はは。僕としては、命が尽きる前に勝ってほ……しゃがめ!!!」



 クラン隊長はいきなり大声を上げて健太郎の頭を無理やり押さえつけ、手持ちのハンドガンで発砲した。

 一同は一斉に後を振り向く。銃口を向けた先にあったのはダーカー種……「ダガン」。

 一発では死んでないのか、二発、三発と続けて発砲。標的は爆散し、破片が四方八方へと飛び散る。

 ――そういうことか。

 ここでいきなりけたたましい音が耳元で鳴り始めた。管制塔からの緊急通信だ。



「き、緊急連絡、緊急連絡! こちら管制室、オペレーターのメリッタですっ! 十四番隊の皆さん聞こえていますか!?」



 慌ただしい口調で喋る女性の声が耳に刺さる。



「こちら十四番隊隊長、クラン・マーキナス。状況は?!」

「今、クラン隊長がいるそのポイント、D区域全土にダーカー出現を観測です!!」



 一同が騒然とする。



「ちょ、ちょっと! こ、これ、演習じゃなかったんっすか!? ナベリウスにダーカーなんて……居ないんじゃなかったのか!?」



 意外にも一番最初に慌て始めたのは健太郎だった。

 彼の言うとおり、惑星ナベリウスにはダーカーの存在は今まで感知されていなかった。

 比較的安全で、かつ、初心者の訓練場には最適とまでされていたのだが……ついにこの星までダーカーの侵食をされるようになったようだ。

 更に続報が入る。



「フォトン係数……き、危険域に入っちゃってます!! まだまだ出現するみたいです! 十分注意を!」



 メリッタが告げたのとほぼ同時に、大気中の緑色のフォトンがみるみる黒色へと変化していった。

 ダーカーによる侵食が始まっている……。

 次々と亜空間から転送されたかのように、目の前に突如出現していくダーカー。

 その姿は、蚊の様な針を口につけ、頭には神経が通った薄い羽根を、更に足には鎌のように鋭い刃を付けた、四足歩行蟲系ダーカー、ダガン。



 
「すごい数だ……ざっと20体はいるな」


 
 クラン隊長が冷や汗を垂らしながら敵の分析を始めていた。



「ニーナ、健太郎、那波、フォーメーションを崩さないようにね」

「はい!」



 那波とニーナは返事をしたが、肝心の健太郎の声がしなかった。

 いや、小さすぎて他の二人にかき消されたのだ。


 
「来るよ……那波!」



 正面から前足を武器に襲い掛かってくるダガン。だが動きが思ったより単調なため、呆気無く斬り払うことが出来た。

 切り裂かれたダガンは徐々に灰になっていき、やがて浄化されてフォトンの一部となる。これが本来の倒され方だ。

 次は二体同時に襲ってきたが、こちらも二振りで事を終えた。

 クラン隊長の方も、那波の横で自前のハンドガンで応戦している。遠距離武器……とまでは行かないが、それなりの射程はあるため、敵も近づけずにいた。

 後方ではニーナが光属性のテクニック、「レスタ」によってメンバー全体をカバーしている。

 体力面ではこれで大丈夫だろう。レスタには疲れを癒やす効果があるため、ニーナが健在な間は長期戦でも耐えることが出来る。

 だが当然、ニーナの気力にも限界はあった。

 初心者用の杖という事もあり、あまり燃費が良くないのか、ニーナの顔が徐々に疲れを見せてきている。



「不味いな……これ以上続くと不利だ……」

「退きますか?」と那波

「奴さんが逃してくれるなら……そうしたいところだね……! 来るよ!」



 正面にダガンが四体、同時に襲ってきた。

 流石に四振りしてる余裕も……仕方ない。



「はあっ!」



 那波は剣を横にし、その場で勢いよく回転をした。

 当然、ダガン共は回転に巻き込まれ、吹き飛んでいく。



「ほお~、フォトンアーツまで使えるのか。こりゃ驚いた」



 隣にいるクラン隊長から称賛される。



「どうも……! ニーナ、後!!」



 前方ばかりに気を取られていたせいか、ニーナの後ろにダガンが一体湧いている。

 大剣ではここからでは援護出来ない。

 しかしそのために、健太郎がいるわけだ。



「健太郎、頼む!」



 クラン隊長が健太郎を呼ぶ……が、しかし



「こ、こいつらが……ダーカー……。人類の……敵……こんな、悍ましい物が……」



 カランカラン……と武器を地面に落とし、健太郎は戦意喪失していた。

 いくら模擬戦をこなしていようと、実戦とはプレッシャーが違う。

 皮肉にも、大口を叩いて先陣を切っていた本人が、そのプレッシャーに負けてしまっていた。



「ッチ、あの役立たずが……!」



 那波が援護に回ろうとするが目の前の五体のダーカーがそれを阻む



「この……!!」



 応戦をしながらニーナを方を向く。

 テクニックの使いすぎか、ニーナはその場でしゃがみこんでしまっていた。

 前足を上空へかざし、攻撃態勢に入るダガン。

 自分の杖を抱え、握りしめたまま諦めた様に目をつぶるニーナ。



「間に合わない……!」



 諦めかけたその時、ニーナとダガンの間にクラン隊長が割り込んだ。

 ニーナを庇うように、ダガンの攻撃を背中で受け止めたのだ。



「た、隊長……? 隊長! ……ひっ」



 クラン隊長の体を揺さぶるニーナの手には、赤い液体がべっとりとついていた。



「いやああぁぁぁああっっっ!!!」



 ニーナの悲鳴が、このエリア全体へと響き渡った。

 その悲鳴はまるで、過去の那波を想起せるかのように……。



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