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まぎあっと。PSO2

PSO2をしながら、その雑記、初心者向け講座、そして自作小説など書いていくブログです

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 Time After Time 2章 第二話 『試験』




「隊長……ねえ、隊長! しっかりしてください!」



 ニーナの涙混じりの悲痛な声が隊長を呼ぶ。
 しかし、隊長の体はピクリとも動かないままだった。



「っち、クソ! 健太郎、おい健太郎!!」



 那波が激しく彼の名前を連呼するうちに、我に返ったように体をびくつかせた。



「えっ……あっ……」

「気をしっかり持て、この口だけ野郎! ニーナの援護に行けるか?!」



 健太郎はようやく事の重大さを認識したのか、怯えの色を見せつつも 「まかせろ」 と言い放ち、ニーナの元へ向かった。
 これでニーナと隊長は健太郎に任せても大丈夫だろう。後は――



「倒しても倒しても湧いて来やがる……それにこいつら、何かおかしくねえか?!」



 健太郎が自前の槍を振り回しながら愚痴を零す。
 確かに彼の言う通り、少しおかしいところがある。
 元々”ダガン”は知性が低く、ダーカーの中でも下等な立ち位置だ。
 にも関わらず、この中で最も脆い箇所であるニーナへの集中攻撃や、その援護に回るアークスを阻止しようとしたりと、何か明確な指示の下で動いてるように感じる。
 


「恐らく……後ろで指示をしている親玉がいる……。メリッタさん、聞こえますか?」

「は、はい! 聞こえていますよー!」



 すぐに慌てた口調で返事がくる。



「私のいる地点から1km圏内の敵観測データと、地形の詳細データを送ってください!」



 「す、すぐに送ります!」 と、慌ただしい声と共に、求めていたデータが送られてくる。
 目の届かない所の地形やレーダー情報などは、上空に飛んでいるアークス支援用戦闘機から受信されるのだ。

 「――見つけた」、そう言わんばかりに那波の口元が少し上がった。



「ニーナ! ほんの小さな火の粉でもいい。一時の方向に向かって撃てるか?!」

「お、おい、そんな所に撃って何が……」

「この中で遠距離攻撃が出来るのはニーナしかいない。頼む」



 ニーナは涙ぐんだその顔を、袖でゴシゴシと擦りながら立ち上がり、了解の意を示した。



「お願い……余力を全部あげる……だからっ!」



 ニーナが杖を構えると、足元から炎の渦が徐々に湧き上がってきた。
 これ以上悲しみを増やしたくない、皆を守りたい。そんな切ない気持ちが、周囲のフォトンから伝わってくるようだった。



「はあっ!」



 杖から飛び出た炎の球体が、弧を描きながら一時の方向へ飛んで行く。
 着弾と同時に周囲が燃え盛り、敵のものと思われる悲鳴も聞こえてきた。



「ピギイイイィィイイ!!」

「な、なんだ?!」 健太郎が驚く。



 炎の中から大きな巨体が、宙をブンブンと彷徨いながら飛び出てきた。
 胴体は小さい癖に頭から後ろに向かって何か袋のようなモノを生やしている。
 それはまるで、巨大なダニのような形容……。



「あれはダガンを産み出すダーカー……ブリアーダ。恐らくあいつが親玉だ」

「ブリ、アーダ……」

「ギ……ギギギ……」

「あいつ、なんかしてやがるぞ!」



 ブリアーダは体をエビ反りにし、小刻みに震え始めだしていた。
 直後、勢い良く体を起き上がらせ、袋から何かを吐き出した。
 それは赤い、卵のような形をしており、みるみるうちに地面へ沈んでいく。
 恐らくこれが……



「――産卵。みろ!」

「な……地面からダガンが湧いてきた……!?」

「ブリアーダはああやって体内でダガンの卵を生成し、生産していたんだろう」

「だったらあいつを倒せば、もう増えないってことだな。よし!!」

「お、おい待て!」



 呼び止める前に健太郎は、ブリアーダに向かって突撃していった。
 迎え撃つダガンを蹴散らしながらブリアーダより高くジャンプし、上空から突き刺そうとした。が……



「ギイィィイ」



 流石親玉だけのことはある。知性の低いダガンとは違い、健太郎の行動の意味を理解しているように、ブリアーダは左右へ高速移動したのだ。



「くそ! こいつ!!」



 健太郎は何度も串刺しにしようと試みるも、尽く攻撃はかわされ続けた。



「くそ、ちょこまかと……うわ!」



 やがてブリアーダの反撃によって吹き飛ばされ、岩に打ち付けられてしまう。
 健太郎はそのまま動く気配がない。当たりどころが悪く、気絶してしまったのだろうか。
 ブリアーダは徐々に健太郎のに近づいていく。



「全く……だから待てと言ったのに……!」



 那波はブリアーダに急接近し、そのまま体当たりをして動きを鈍らせる。



「グギッ!?」

「余計な手間をかけさせるなよ」



 動けないブリアーダの背後を取り、赤い球体部分に勢い良く剣を突き刺した。




 ――パチパチパチ
 後方から拍手の音が聞こえてくる。



「ダーカーの心臓とも呼ぶべきコアを潰してしまえば、彼らの活動は停止する。最も効率のいい戦法だね」

「……それはどうも。もう演習は終了ってことでいいんですか?」



 振り向いた先に立っていたのは、大量の赤い液体にまみれたクラン・マーキナス隊長だった。



「あちゃー……その口ぶり、やっぱり見抜かれてたか。どこで気づいたの?」

「最初、隊長がダーカーを倒した時ですよ。本来ダーカーは、倒されたら灰になって浄化され、フォトンの糧となる。なのに、隊長の倒したダガンは爆散した。つまりは、演習用のダミー……って所じゃないですか?」

「ご名答! 流石、僕の教え子だね。そんな些細なことから解るとは」

「元々演習目的ですし。でも、何のためにこんな事を?」

「……実戦では色々な事が突然起こる。それこそ、今みたいな大量発生なんて事も。そんな時に、指令を出す者が倒れた時、どう動けばいいのか? 言葉で理解していても、実戦は違う。だからやらせてみたんだ。君たちがどんな行動を取るのか、知っておきたくてね。言うなれば、先生からの最初の試験さ」

「なるほど、確かに。習うより慣れろということですかね」

「でも実際、当初の計画ではダミー一体だけだったんだよ。途中から本当に大量発生が起こってしまった。君も薄々感じてるんじゃないかい?」

「……ええ。二体目からはホンモノでした……。やはりこの星も?」

「うむ。惑星ナベリウスにも、徐々にダーカーが現れるようになってきた。大変な事だよ……」



 返す言葉が見つからなかった。
 唯一、ダーカーの存在が感知されなかったこの惑星ナベリウスにも、いよいよダーカーが現れ始めた。
 これにより、原生生物も侵食され、ますます凶暴になっていくのだろう。
 原因も解らぬまま、侵食だけが進んでいく。
 しばらく二人は無言になった。



「僕も一つ聞いていいかな? 君……那波は、初心者じゃないね?」

「…………」



 あまり答えたくはない。
 ミレイユの存在も、あまり公にするわけには行かない。
 だがもはや隠し通せる空気でもない。実際に見られてしまったのだから。



「いや、言いたくない事情があるなら、無理に話す必要はないよ。さっきの戦闘をみて、君はしっかり仲間を助けた。部隊長として誇りに思うよ。悪い人間出ないことは確かだしね」

「……ありがとうございます」



 那波からみても、この男は陽気ではあるが、悪人ではない事は何となく分かる。
 今日初めて会ったのにここまで警戒が解かれるのは珍しい方だ。
 


「さて、それじゃあ戻りますか」



 クラン隊長が気絶している二人を担ぎ、帰還用のテレポーターへと歩む。



「……了解」



 那波も、二人の武器と荷物をまとめ、その後に続く。
 その時、刃を突き立てられる様な鋭い視線が背中に刺さる。
 急いで振り向いてみたが周囲に人影は見られなかった。



「ん? どうした?」

「い、いえ……何でも」



 ……気のせい、だったのだろうか。
 何か殺気じみた物を感じたのだが……
 初のチーム戦で疲れているだけかもしれないが……。




「――彼奴が、シュナイゼルの義娘、か」

 

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