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まぎあっと。PSO2

PSO2をしながら、その雑記、初心者向け講座、そして自作小説など書いていくブログです

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 PSO2自作小説 Time After Time 1章 託された想い 第Ⅰ話



 任務上がりのシュナイゼルは、少女が入院している病院へ足を運んでいた。

 身寄りのいない少女が寂しくならないように、定期的に見舞いに行っている。

 そして、少女と顔を合わす度にあの事故のことを思い出してしまう。




 ――謎の研究所爆発事故。

 研究員の安否は不明。

 生存者は記憶をなくした少女ただ一人。

 なぜ、少女はあんな所に一人で倒れていたのか、

 事故の原因は何だったのか。

 世界一と誇られてるアークスの情報データベースで調べてみたが、

 何一つとして明らかになっていない。


 一体あの日、あの場所で、何が起こったと言うのか――







 事故から五ヶ月が経った。

 アークスの医療技術は凄いものだ。
 
 少女は、命にかかわる重態から短い期間で自由に歩けるほど回復した。
 
 ここ数年でこの世界の医療技術は格段に進歩している。

 百年程前までは治療が難しいとされていた白血病や癌の病気ですら、今では ”フォトン” と呼ばれる力で病源を取り除くことが出来る。

 フォトンは自然に漂うエネルギーの事で、光の神と呼ばれる存在がもたらすそうだ。

 実際の所、フォトンがどのような原理で、なぜ存在するのかは、我々一介のアークスには知らされていないのだ。

 これらの情報はアークスの中でも機密レベルSSランクの情報であり、上層部の中でもほんに一握りしか知らされていないだろう。

 しかしフォトンの力は市民はおろか、アークスにとっても無くてはならない存在だ。

 武器や魔法、テレポートなどの移動手段にまで幅広く使われている。

 この力を失うと、我々はダーカーに対抗できなくなってしまうのだ……。











「あ、おじさん! 今日も来てくれたんだね!」

「お、今日も元気そうだな、那波」



 ――那波。シュナイゼルが身寄りのいないこの娘に付けた名前だ。

 ”那” という字には安らかや、美しいという意味が込められている。

 だから那波には――



「前から気になってたんだけど、なんでわたしのこと、ナナミって付けたの?」

「んー? ……那波って名前、可愛いじゃないか」

「いや、まあ、嫌いじゃ無いけど、さ……」



 ――だから那波には、どんな苦難な波も、

 美しく、そして常に落ち着いて乗り越えられる

 そんな女性になってほしいと願って付けた。



「那波が大人になったら教えてやろう。今はまだ、難しすぎるからな?」

「なにそれ。おじさんのケチ!」



  ”難しすぎる” と言葉を濁したが、どうもこういう事はこっ恥ずかしくてだめだ。



「それよりも、今日はビッグニュースがあるぞ!」

「びっぐにゅーす? なに?」

「あと一週間で退院できるそうだぞ!」

「ほんと! やっと外に出られるんだ! やったぁ!」

「ただし! 次の検査で、どこも異常がなければ、だ。だからしっかり、安静にしてるんだぞ」



 医者の話によると、那波の体は順調に回復を迎えてるらしい。

 下半身に装着しているキャストパーツとの適合率も良好のようだ。

 通常、キャストパーツを装着するには体と適合するものを選ばなければならない。

 さらにそのパーツが体と馴染むように調整を重ね、大体半年という時間がかかる。

 しかしこれは全身をキャスト化させる場合だ。

 体の一部分をキャスト化させるには、まず元々の体にあうパーツを作らなければならない。

 これは全体を一から作るよりも繊細な作業で、その人に通ってる神経や波長なども気にしなければいけないからだ。

 適合に成功する確率も高くなく、すべての作業が終わるには一年近くかかる。

 だから那波のような、たった数回の調整で上手くいくケースは殆ど無いそうだ。

 加えて身体の回復速度も早いとなると、もはや奇跡に近い。



「じゃあ、俺はそろそろ仕事に戻るとしよう。しっかり治すんだぞ」

「うん。おじさんも、次来るときはメロン持ってきてよ」



 シュナイゼルは ”ああ、それじゃあな” と手を振って病室を後にした。




 事故から早くも五ヶ月……

 未だ那波の両親の手がかりも、事故の原因も解っていない。

 アークスの情報網でも何一つ見つけられないなんてあるのか……?

 それとも……


 意図的に情報が隠蔽されているのか――











 ――剣と剣がぶつかる金属音。

 ここはトレーニングルーム。アークスの隊員達が腕を上げる場所だ。

 シュナイゼルは今、自分の部下に稽古をつけているところだ。



「さすが、隊長だ……一撃も、入らない……」



 この男の名前は ”カーネル・クランシエール” 、シュナイゼル率いる第三機動部隊の一人だ。

 正義感が強く、シュナイゼルの事を誰よりも信頼し、尊敬している。

 だがここぞという時に臆病になってしまいがちなのが、カーネルの悪い癖でもある。



「いやいや。お前も随分筋が良くなってきたじゃないか。最初の頃ときたら……」

「よ、よしてくださいよ~。でも、自分も隊長みたいに、正義を信じ、市民を守れる立派なアークスになりたいんです」

「俺はそんな立派なもんじゃないぞ。ま、それならもっと腕を上げないといけないな? カーネル君」

「押忍! よろしくお願いします!」



 だがその悪い癖も、経験がまだ少ないからだ。

 こいつはきっと伸びる。辛い経験を乗り越えて、いつか一流のアークスになってくれるだろう。

 誰よりも真っ直ぐで、純粋な気持ちと夢を持ち合わせたその若さに、シュナイゼルは一目を置いていた。





 カーネルとの稽古を終えたシュナイゼルは、いつもの様に調べ物をしていた。

 勿論、あの事故の事だ。

 時間があれば毎日のように、あの事故の事を探っているのだが、一向に成果が出せないでいる。

 ここ数ヶ月で過去のデータファイルも全て目を通したものの、何一つ手がかりがない。



「ここまで調べて何も出ないとすると……後は現場に行ってみるしか無いか」



 

 次の日、シュナイゼルは上司に現場捜索の許可を貰い、カーネルら他数名の部下と共に研究所跡地へと足を運んだ。

 あの事故の後、建物は瓦礫の山と化している。

 正直、ここから手がかりを見つけるなど不可能に近いが……



「どんな些細なものでもいい、手がかりになりそうなものを見つけ次第、報告してくれ」

「ラジャー!」



 どんな些細な手がかりでもいい、那波のためにも、なんとしても見つけなくては……




 ――数時間が経過した。

 辺りは薄暗く、陽は沈みかけていた。

 現在見つかっているのは家族写真と思われるものに、ペンダント、そして鍵だけだった。

 写真は大半が焼き付いているが、中央に那波、両端にその両親と思われる人物が写っていた。

 両親の首から上は焼き付いていて顔の判別は出来なかったが、両親と手を繋ぎ、明るく笑う那波の姿が映し出されていた。



「――いい笑顔だ」



 愛されて育ってきたのだろう。

 その表情から、親の愛情が伝わってくるようだった。

 2つ目は火災の影響で大半が焦げているが、ロケットペンダントのようだ。

 写真を入れる部分を繰り抜き、小物が入るようになっている。

 中身は小さな石が1つだけ入っていた。



「なんの石でしょう、これ」

「ペンダントに入れるくらいのものだから、何か思い出の品なのでしょうか」



 カーネルともう一人の女性隊員、ラミネが呟く。

 本名ラミネ・アレクサンドリア。敵の分析を常に行い、相手の動き、行動パターンを読むことを得意としている。

 彼女もまた、シュナイゼルの信頼できる部下だ。

 

 確かにペンダントに入っている物がただの石ころとは思えない。

 先程の写真にも、母と思われる首にかかっていることから、大事なものと見える。

 3つ目は少し古ぼけた――鍵。

 研究所の入り口や門は全てオートロックなので、研究所内部の鍵のはずだ。

 屋敷の主が持つような古風な鍵なので、単なるロッカーの鍵、というわけではなさそうなのだが……



「隊長!! 瓦礫の下に隠し扉が!!」



 別の隊員がどうやら見つけてくれたようだ。

 隠し扉は床に設置されおり、多くの瓦礫の下敷きになっていた。

 扉には小さな鍵穴が付いている。恐らく――



「――開いた」



 重量のある床をゆっくりと持ち上げると、地下へ続く階段があった。

 これでようやく、一歩前進することが出来る。

 シュナイゼルは那波へ、両親の手がかりを持って帰りたくて仕方がなかった。

 期待と願いを胸に、一歩ずつ地下への階段を降りていく。

 辺りはカビ臭い匂いや、湿気のせいもあり、空気は最悪だ。

 一歩、また一歩と奥に進むにつれて、期待とは裏腹に、嫌な寒気を覚えた。

 また、むせ返るような匂いが鼻をついてくる。

 なんだ、この匂いは……

 期待が徐々に不安へと変わってゆく。

 

 やがて、最深部に到着し、部下に明かりを照らすように指示した。

 目の前に広がったのは、期待していたものとは程遠い……



 研究員たちの死体の山だった――






Time After Time  1章 託された想い 第Ⅰ話  END

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