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まぎあっと。PSO2

PSO2をしながら、その雑記、初心者向け講座、そして自作小説など書いていくブログです

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 PSO2自作小説 Time After Time 1章 託された想い 第Ⅱ話



 ガラス窓が軋みを上げる。

 雨が強い。

 雷鳴が轟き、荒々しい雰囲気が一段と膨れ上がった。



「丁度あの日も、こんな天気だったな……」





 呟き、シュナイゼルは思い出していた。

 忘れたくても忘れられない ”あの日” の事を……。



「おーじさん!」



 ふと、後ろから声がした。

 振り返ると、フリルの付いたワンピースに、麦わら帽子を被った那波の姿があった。



「おいおい、外は雨だぞ? どうしたんだ」

「どうしたも何も、昨日おじさんが私の誕生日にくれたものよ?」



 そう、昨日で那波は十二歳を迎えていた。

 最も、正確な誕生日はわからないため、那波と相談して決めた日、それが昨日だ。

 那波が言うには、シュナイゼルと那波が病院で会ったあの日を記念日、もとい誕生日にしたいとのことだった。



「それはそうだが……なにもこんな日に着なくても」

「せっかくおじさんがプレゼントしてくれたものだもん。早く着てみたかったの!」



 最初は派手すぎるのではないかと思ったのだが、那波が以前カタログでこの服を見ながら目を輝かせてたことがあったので、それをプレゼントしてみた。

 那波もそろそろ、着飾りたい年頃なのかもしれない。

 むしろ、上半身は生身の人間だが下半身はキャスト、という特殊性もあり、シュナイゼルとしても人間のような見た目にさせてやりたかった。

 那波は ”えへへ” と微笑ましく笑いながら、その場でクルッと回った。

 どうやら気に入ってもらえているらしい。

 最近は本当に幸せそうな顔を見せる。

 だがそれとは裏腹に、時々部屋の片隅で一人、泣いてる所を見るようになった。

 初めて見た時は慌てて声をかけたが ”なんでもないよ” と言って隠してしまう。

 恐らく、薄々気付き始めているのだ。

 自分の両親がどうなったのか、ということを。



 






 
 今から七年前。

 那波の両親の手がかりを探すため、シュナイゼル達は研究所跡地へと足を運んだ。

 そこで見つかったものは、両親と思われる写真、中に小石が入っていたロケットペンダント、そして……

 ――鍵、だった。

 その鍵で地下へと降りたシュナイゼル達が見たものは、死体の山だった。

 それもただの死体ではない。

 全ての死体に、異変や損傷が見られた。

 切断されている手足、縫った痕跡がある皮膚……

 ただ炎に焼かれただけではない。明らかに人為的な被害を受けている死体ばかりだ。



「隊長……なんなん、です……これ」



 カーネルが声を震わせながらシュナイゼルに問う。

 しかし状況を知りたいのはこちらの方だ。

 一体どうしたらこんな死体の山が出来上がる?

 彼らはこの研究所で何をしていたと言うんだ……!

 シュナイゼルはどうしようもない気持ちに襲われた。



「せっかく両親の手がかりが見つかると思ったのに、これでは……」



 そう思った矢先、嫌な予感が脳裏を走った。



「隊長、何を……」



 今度はラミネが問う。

 だがそんなことに耳を傾けている余裕はなかった。

 シュナイゼルは死体の山をかき分ける。

 もしかすると、最悪な展開が待っているのではないか。

 そう思っていると、その予感は見事に的中した。



「その遺体……まさか」

「……クソオォ!!」



 シュナイゼルは拳を力いっぱい地面に叩きつけた。

 反動で腕が一瞬痺れる程……だが今はそんなことはどうだっていい。

 遺体のネームプレートには汚れで見難くなっているが ”責任者” という文字が書かれていた。

 そう、あの研究所が爆発事故を起こしたまさにあの日、那波の両親は研究所内に居たのだ。

 地下という牢獄の中に。

 その時はまだ生きていたのか、それとも既に息絶えていたのかは解らない。

 だがもしかしたら助けられたかもしれない。

 あの時、もっとよくあの場所を調べていれば、助かっていたのかもしれない。

 考えれば考える程、太い杭で胸を打ち付けられる痛みがシュナイゼルに走る。



「俺は……那波に、なんて話せばいいんだ……」

「…………」



 カーネルも、ラミネも、他の隊員たちも誰一人として、その問に答えられなかった。

 里親であるシュナイゼルにさえ、答えられない事を、他の人に答えられる訳がなかった。

 よく見てみると、責任者と書かれた遺体の手には、もう一人の遺体の手が握られていた。

 恐らくこの人が、那波の母親だろう。

 死ぬその最期の時まで、一緒だったのが伺えた――











「おじさん」

「どうした?」

「さっきからボーっとしてるけど、どうしたの?」



 もうそろそろ、本当のことを話すべきだろうか。

 それ以前に、嘘を貫き通すのも限界に思えてきている。



「那波」

「え、なに?」

「お前は、両親のこと……知りたいか」

「…………」



 那波は少し硬い表情をした。

 少し間を開けた後……



「……知りたい」

「…………」

「今、私の両親がどうなっているのか知りたい」

「…………」

「おじさんには感謝してる。名前も記憶も忘れた私を、我が子のように育ててくれたこと、下半身を失ってもなお、必死に助けてくれて、こうしてキャストのパーツまでつけてくれたこと」

「お前、気づいていたのか」

「最初のうちは気づかなかったよ。でも、変な感じはしてたの。自分の足であるはずなのに、何かが違うって。だから必死になって調べた」



 日頃から難しい本を読んでいたことは知っていたが、あれはそういうことだったのか……



「だから、教えてほしい。私のお父さんとお母さんのこと」



 那波は、曇りのない瞳で、シュナイゼルの目を見つめていた。

 全てを受け入れる覚悟がある、そんな目。

 これほどまで真剣な目をする那波を、シュナイゼルは初めて見た。

 思えば那波と初めて会ったあの日以来、那波から両親に対しての質問は殆どなかった。

 恐らく、彼女なりに気を利かせていたのだろう。

 ――もう、真実を話す時だ。

 シュナイゼルは意を決し、知る限りの全てのことを那波に話した。

 那波の瞳には涙が流れていた。

 それでも、目を背けず、ただ黙って、シュナイゼルの話を聞いていた――





 しばらくお互いに沈黙の時間が流れた。

 シュナイゼルの話は那波にとって確かに衝撃的な事実だった。

 しかし、全く予想をしていなかった訳ではなかった。

 心の何処かで、そうじゃないかという気もしていた。

 いくら海外出張に出てるとしても、手紙や電話の一つないのはさすがにおかしい。

 それに普通なら、研究所に那波一人だけが倒れているのも不自然だ。



「…………」



 先程シュナイゼルからもらったロケットペンダントを強く握りしめた。

 母からの、唯一の形見。

 中には小さな石ころしか入っていない。

 これが何の石なのかは、検討もつかないが……



 未だに記憶は戻らない。

 那波がなぜ、あの場所にいたのか、なぜ他に誰も居なかったのか。

 それに、那波が倒れていた場所は炎と瓦礫で包まれていたはず……

 そう考えていると、手の甲が暖かくなった気がした。



「どうした?那波」

「今なんか……ペンダントが暖かくなった気がした。いや、握っていたせいかも、だけど……」

「一応鑑定の結果、その石に特別な力は無いそうだが……」



 ただの気のせいだろうか。

 でもあの暖かみ……どこかで……。






Time After Time  1章 託された想い 第Ⅱ話  END

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