Welcome to my blog

まぎあっと。PSO2

PSO2をしながら、その雑記、初心者向け講座、そして自作小説など書いていくブログです

 スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

 Time After Time 1章 託された想い 第Ⅴ話




 体がフワフワと宙に浮いているのだろうか。

 意識がぼんやりとしている。

 自分が今何をしているのかと考えるが、頭がうまく働かない。



『――波』





 ……遠くの方で、声がする。

 掠れたような声だ。

 なんと言っているのだろう?



『――那波』


 今度はハッキリと聞こえた。

 腹の底から振り絞って出したような声。

 この人は私を呼んでいるのか。



 周囲からは、草原を鳴らすようにして、サァーっという風の音が聞こえる。



 ……風?

 ここはどこだろう。

 草木が揺れる音が聞こえるということは、外だろうか。

 徐々に意識がはっきりとしてきた。

 そこでようやく、自分が横になっていた事を理解する。



 上半身を起き上がらせ、ゆっくりと目をあける。

 目の前に広がるのは、那波がよく知っている場所だ。



「え……ここ……」



 そこは、昔よく遊びに来た研究所近くの丘に酷似している。

 寝ぼけているのだろうか……?

 『私、確か……』 と記憶を探るも、霞がかかったようにうまく思い出せない。

 やがて足元を見ると、何かの影が見える。

 ハッとして後ろを振り向くと、巨大な大木があった。



「ケヤキの……木」



 間違いない。

 ここは研究所の近くにあった丘……。

 丘から見える茅葺屋根(かやぶきやね)で作られた民家。

 その向こう側には大きな川と、赤い鉄橋。

 昔はそれなりに存在したものの、茅で作られた家なんて今の時代ここくらいなものだ。

 そしてこの大きなケヤキ。

 何もかも、記憶にある風景と一致していた。

 ……ただ一つを除いて。



「おじ……さん?」



 木の横にはシュナイゼルが横たわっていた。

 体には複数の大小様々な傷。

 目の役割をするディスプレイにもヒビが入っており、

 キャストの心臓とも呼べるコアの部分には、一番大きな傷がついている。

 まるで巨大な爪か何かで抉り取られたかのように、深々と刻まれていた。

 その傷口からは朱色の血液が溢れでている。



 シュナイゼルがゴホゴホと咽る。

 それと同時に血液が口から吹き出る。

 那波は急いでシュナイゼルの元へ駆け寄った。



「おじさん! ねえおじさん!! しっかりしてよ!」

「……その声、那波、か?」

「そうだよ! 私だよ! 一体何があったの!? どうしてここに……?」



 那波は取り乱し、多くの質問をぶつけた。

 シュナイゼルは今にも消えそうな声で答える。



「そう、か……無事だったか……」



 優しい声でいつものように、那波の頭を撫でる仕草をしている。

 だがシュナイゼルの手の先には那波の頭はない。



「おじさん……もしかして……」

「すまない……もう、目が見えないんだ……」



 ボロボロの体を目の当たりにし、那波の目元に涙が溢れだす。

 その腕は酷いダメージを受けており、中の配線が丸見えの部分もある。

 いつまでも虚しく、何もない空間を彷徨い続けるシュナイゼルの手を強く握った。



「私……私はここにいるよ! は、早くその体を治そう……?」



 「行こうよ!」 と言おうとした時、シュナイゼルの腕が腐り落ちてしまった。

 腕が生えていた場所からドバドバと人口血液が漏れ出す。



「ぁ……ぁあ……」



 声、いや、全身が震えて言葉にならない。



「……いいん、だ……俺はもう助からない」

「何を言い出すの! まだ……腕をくっつければ……!」



 ガシャガシャと部品を拾い集め、腕を繋げようとする。

 しかし知識も道具もない那波には出来るはずもなく

 再び、腕は地面へと落下していく。

 諦めるものか、とパーツを拾おうとするものの、震えのせいでうまく掴めない。



「もう、いい。那な」

「よくない!!」



 シュナイゼルの言葉を遮り、跳ね返した。



「那波。今まで、ありがとうな……」

「今までって……これからもでしょ!! 何で、そんな……事……」



 シュナイゼルの死が近いのは誰が見ても明らかだ。

 だが、それを受け入れたくなかった。



(受け入れてしまえば本当に……)


 
 那波の顔は涙でぐしゃぐしゃになっていた。

 だが、それさえも、今のシュナイゼルには……



「那波……いいか、よく……聞くんだ」



 シュナイゼルが最後の力を振り絞り、語りだす。

 那波も涙を拭いつつ 「なに?」 と聞く態勢をとる。



「……ハーヴェスト高原に住むミレイユという奴を……訪ねるんだ」

「ミレイユ、さん……?」

「性格や口調は悪いが、根は良い奴だ……必ずお前の力になってくれるだろう」

「え……どういう、こと?」

「特徴、は……背丈が高く、金髪の女性。そして見た者全てを凍りつかせるような冷たい蒼い瞳、だ」

「嫌……嫌だよ私! 私はおじさんと過ごしたいよ……」



 弱々しい声で訴える。

 だが那波の言葉は返されず、シュナイゼルは話を続けた。



「……すまないな。約束、果たせなくて」



 果たせなくて、という言葉に再び涙が溜まる。



「そうだよ! また三人で遊園地行こうって約束したじゃない!」

「はは……怒らせて、しまったか……お前は怒るといつも喋らなくなるもんな……」



 ――え?

 喋らないって……私、さっきからずっと……

 ……そうか。

 言葉を返さなかったんじゃない。返せなかったんだ……

 おじさんの耳はもう……



「……俺は、お前の父に、なれたかな……」

「うん……うん! 私のお父さんは……シュナイゼルなんだよ!! だからッ」

「……ありがとう」



 もう、聴力も失ったはずなのに……

 シュナイゼルは笑うかのように、暖かい声で最後にそう言い残し

 息を引き取った。


 声にもならない叫びを上げながら

 動かない鋼鉄のボディに顔をうずめ

 那波はひたすらに泣き続けた――

 











 目を開けるとベッドの上だった。

 目線の先には白い天井……



「ここ……病院……?」



 なぜ私は病院で寝ているのだろう。

 確かラミネさんを見送った後、部屋の掃除をして……

 机の上にあった、ラミネさんの無線機から……



「あ……あぁぁ……!!」



 堪らず上半身を勢い良く起こし、頭を抱え込んだ。

 そうだ、思い出した……

 私はおじさんの死を知ってしまった……

 いや……まだそうと決まった訳じゃない……

 無線は何かの誤報か、私の聞き間違いかも知れない……

 ラミネさんに確かめなくては……

 そう思っていると、扉の開く音がした。



「あっ……那波ちゃん! よかった~、意識が戻ったのね!」 ラミネだ。

「ラミネさん! あのっ……おじさん、は?」



 「隊長なら任務中でしょ? もう、何寝ぼけてるの」 という返事を期待していた。

 そうであって欲しかった……

 だが、ラミネの表情は固まり、一気に暗い顔になった。



「やっぱり……聞いちゃったんだね……無線の内容」

「……!」



 淡い希望は儚く溶け去った。

 現実を受け止めたくないという気持ちから生み出た那波の願いとも言える。

 シュナイゼルは、本当に死んでしまったのだ。



「どうして……どうしておじさんが死ななきゃならないの!?」

「おじさん、何も悪いことしてないじゃない!!」



 悲痛な叫びと共に、生の感情をラミネにぶつける。

 ラミネに言っても仕方がないのは解ってる。

 だが、どこにもぶつける事の出来ない気持ちを自分の中だけで消化する余裕は、今の那波には無かった。

 那波は枕に顔を押し付け、泣き続けている。

 ラミネも、その場でただ俯いていた。



「……しさえ、……れば……」

「え?」 ラミネが聞き返す。

「私が関わった人がみんな死んでいく……お父さんも、お母さんも……おじさんまでも」

「ちょっと……」

「私、呪われてるんだ……私さえ……いな、ければっ……!」



 再び涙が零れ落ちる。

 ラミネは必死に 「そんなことない!」 と言葉を発しているようだが

 那波の耳には届いてなかった。

 自分さえ存在しなければ――

 涙の混じった声が部屋中に響き渡る。

 泣くことしか出来ない自分の無力さを噛み締めながら……

 止められなかった自分を恨みながら……








 Time After Time 1章 託された想い 第Ⅴ話  END







――――あとがき――――

たまにはあとがき風もいいかなって(ry
mixiのほうでは、まえがきなんかも描いてました。


(´・ω・`)どうも、まぎです。


ご閲覧ありがとうございました!
第5話、いかがだったでしょうか。
実を言いますと今回の5話は正直困りました・・・
骨組みをしっかりしてない故、ぷちスランプ状態に陥ってしまい
途中からどうすればいいのか解らないことに・・・
プロットっていうんですか、大事ですよね(´・ω・`)


最初は5話で1章を終わりにする予定だったのですが
詰め込み過ぎた結果、粗末な出来になってしまい、変更した次第です。
多分予定では7話くらいで1章完結、という感じではないでしょうか。(予定


さて、シュナイゼルが死んでしまい、那波がショックを受けるという
シンプルな構成にし直した5話です。
新キャラも6話以降に登場するのですが
これが那波にとって人生の選択とも言える重要なシーンでもあります。


出来る限り早いうちに完成できるよう、頑張りますので
次回もよければ、御覧ください!

- 0 Comments

コメント入力フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。